防犯コラム「住宅のセキュリティ」
東京でも昭和40年頃まではちょっとした外出程度では家の鍵は掛けない家庭が多くありました。現代はゴミ捨てに出たわずかな時間に侵入盗の被害に遭ったという事例がありますので、家の施錠は欠かせなくなりました。

消費者意識調査によれば、87%の人が防犯対策の必要性を感じると回答しました。
日本での犯罪が増えている」⇒「犯罪を身近に感じる」⇒「防犯対策が必要」という感覚は、普通の人が共通に感じている問題意識のようです。

87%にも及ぶ高い意識は実際の防犯対策行動に反映されているのかというと、大きな格差が出ています。
すぐにでも防犯対策をする」という人は7%しかいません。

日本全国に4千5百万の世帯があり、過疎地や独居男性世帯を除外しても、防犯対策を必要とする世帯は3千万世帯と推定されます。この内
7%に相当する2百万世帯しか防犯対策を導入していない計算なのです。

警備会社による機械警備システムを導入しようとすると、平均的な戸建住宅では
契約初年度に30万円程度の費用が必要になりますから、生活の安全に危機が切迫していなければ、高所得者以外は導入しなことになります。
日本の防犯対策の歴史は浅く、警備会社が提供するセキュリティサービス以外に適当な防犯サービスや防犯機器が存在していないので、日本の住宅には防犯対策が普及しないようです。


戸建住宅やマンションなどの集合住宅を狙った窃盗犯による侵入手口は、玄関錠をピッキング法によって開錠し侵入します。
平成13年にはピッキングによる侵入盗被害が連続しましたが、玄関用シリンダー錠メーカーがピッキング対策を強化して、ピッキング侵入盗が激減しました。

しかし犯行の手口はピッキングからサムターン開錠、カム送り開錠、バンピング開錠と手口を変えて、侵入盗と鍵錠メーカーとの技術のせめぎ合いになっています。
新築の住宅では開錠され難い高性能のシリンダーが使用されるようになりましたので、玄関錠の開錠による侵入盗の心配は少なくなりました。
もしも旧式(鍵中央部がΩ型)の鍵を使用されている場合には、開錠に強い新型(鍵穴が一直線型)のシリンダーに付け替えるようにしてください。

こうした玄関錠の開錠による侵入よりも、被害が多い侵入手口がサッシのガラス破りによるものです。玄関錠の開錠は技術を要しますが、ガラス破りは簡単で時間がかからないために、侵入盗には多く使われる手法です。

サッシの室内側にあるクレセントをロック解除すれば、サッシは開いてしまいます。
侵入盗はサッシのクレセント部のガラスを小さく割り、ドライバー1本でクレセントのロックを外側から解除します。
「強化ガラスや網目線が入ったガラスは割れない」と考える人は多く、これらは割れた際にガラス破片が散乱しないだけで、割れないガラスではありません。ガラス破りに強いのは「防犯ガラス」や「防犯フィルム貼り」ですから認識を改めて頂きたいものです。

防犯ガラスや防犯フィルムは比較的高価ですから、費用を掛けずにガラス破り侵入を防ぐ方法がサッシロックです。
ガラス破りでサッシのクレセントを解除されても、サッシに簡単な補助ロックを付けておけば、サッシは開きません。
最近では番号合わせ式のクレセントが販売され、ガラス破り侵入には優れた対策効果は認められています。



住宅の侵入盗対策は“警備会社による機械警備装置”でいいでしょうか?

機械警備装置は侵入盗が家に侵入して初めて作動します。つまり不審者が家に入ってしまい、危険や被害が正に発生していることを意味します。これを防犯とは言いません。

「防犯対策」とは、
不審者に狙われない家狙われても侵入できない家侵入されても被害を受けない対策を言います。

防犯対策のポイントは「狙われない家」を演出することが重要です。

住宅の周辺を夜間でも明るくすることは効果的です。センサーライトを装備して住宅の敷地外からでも装備が見えることで侵入盗を威嚇する効果があります。

特に、住宅の死角になる場所に窓や入口などの侵入経路がある場合には、見える防犯対策は不可欠と言えます。
センサーライトや防犯カメラは大きな対策効果を発揮します。
防犯カメラをダミーで済ませる方もいますが、侵入盗は防犯知識にも長けていますから、一目で偽り品と見破ってしまいますのでだダミーカメラは効果が望めません。


玄関鍵の開錠による侵入はシリンダーの品質向上によって減少しましたが、施錠しなければ対策にはなりません。施錠忘れによる侵入盗被害は後を絶ちません。

朝のゴミ出しの刹那に侵入されるケースも多く、さずかな時間を突いて被害が起こります。
一般に、「ゴミ出しの都度に玄関を施錠しない」という声も多いようですが、こういう場合にはオートロック錠が便利です。
鍵を持たずに外出しても扉が閉まれば自動的に施錠されるので、施錠忘れによる侵入被害の心配もありません。またオートロック錠は外観でも分かるので、狙われない家を演出するには適した防犯品と言えます。


防犯対策」とは、不審者に狙われない家狙われても侵入できない家侵入されても被害を受けない対策を言います。
私達が思う以上に、侵入盗は住宅の防犯対策を知り、先進の防犯品を研究しています。
狙われ、侵入され、被害に遭ってから「
防犯対策をすれば良かった」と思っても、奪われた財産や思い出は戻って来ません。
見知らぬ人に踏みにじられた忌わしい記憶は長く残ります。奪われた金品は再び買うこともできますが、人の命は取り戻すことが出来ません。最悪の被害を未然に防ぐためにも、専門の防犯士の意見に耳を傾け、最低限の防犯対策を始めて下さい。